メイン創作

今となっては―…遠い昔のこと。この世界には神が居た。

星を宿した瞳と凪の心を持った神は、あらゆる獣に対し与えることをした。それが善というものであると思って。神の側にいた獣のひとりは欲というものを知っていた。故にそれを案じたが、意志に反することはしなかった。神に対する信頼と思って。
自身に叶えられる”奇跡”に対し力を使うことを惜しまなかった神によって、世界は栄え、希望に満ち―…戦が起きた。
一つの国には留まらなかった神を、愚かな王たちが独占しようとした結果だった。神の側にいた二頭の獣は均衡を保つため―冀望を得るために動いたが、ひとりに慈悲はない。斬り捨てられる獣は斬った。

そしてもう一つ、愚かな存在が居た。龍と魔族が手を組み、混乱に乗じて神と天の獣たちに戦を仕掛けたのだ。

龍には、過信するほどの力があった。愚かな王と同じ、神を裏切った天の獣と魔族を連れ、座を奪えると思っていた。
魔族の王は、配下が戦を企てたと知っていた。だが気付かないふりをした。自身に背いた獣を纏めて炙り出して、戦場で消してやるのは効率がいいと思って。そうして神に力添えする形で、裏切り者を薙いだ。
劣勢を知った龍の王は、敗北を受け容れなかった。そうして傷付いた肉体と憎悪を糧に、”穢獣”へと成り果てたのだ。

穢れた龍は始めに一つ、地上の国を滅ぼした。

愚かな王の戦と天から降り注いだ戦火、その影響により地上は穢獣で溢れていた。神の味方をした天の獣たちは愕然としたが、龍の穢れが及ぶ前に僅かな生き残りを救うことを優先する。

その間、七つ在った国を、龍はまた一つ滅ぼした。

死を司る天の獣は、魂すら遺らない世界に絶望した。眠りを司る天の獣は、残った命を夢に閉じ込め時を待った。神が奇跡を与えると思って。
七つめの国が滅んだ頃、神の側にいた獣のひとりは龍を討った。愚かな王も民も、地上にはもう存在していなかった。神が七日で作った世界は、同じく七日で滅んだのだ。

神の心は変わらず凪いでいたが、自身によって世界が荒れ果てたことは解っていた。そうして決意した。ただ、傍観を貫こうと。同じ過ちを、繰り返さぬように。
ただ最後の奇跡として光を放ち、蔓延した穢れを打ち払い穢獣を全て滅したのだ。創り直された世界は天の獣たちによって再生され、生き残った獣と共に再び繁栄を始めた。

千年経った現在、戦の名残りは存在していない。”神”と呼ばれるようになった天の獣たちの記憶と、龍が始めに滅ぼした国―…後にアレグリア王国となる、穢れた土地を除いて。

これはそんな―…滅びの上に成る獣たちの話。

▼語句説明

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記載―星降り/穢れ/穢獣変異現象/穢れ憑き/穢れ神。


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天界

アルファ―星波/アルクアロウ。

神々を筆頭に、地上世界を管理しうる力を持つ者たちの地。

天界

アルファ―星波/アルクアロウ。

主に神々や天使が住まう不可侵領域。世界の監視、管理者の地。地上界の遥か上に存在しており、ゲイトと呼ばれる複数の門を通過し侵入が可能となる。
威圧感のある気配に満ち、穢れを寄せ付けない神聖さを有しているため穢獣や穢れ憑きにとっては完全なる禁足地。

天界/天使領

アルファ―熾天使四翼…カルカテルラ/アルフ/未定/未定。

神々に仕えている天使たちが所属する地。天界と隣り合った場所に位置し、天使のほか悪魔から聖天した者が所属する。悪魔,魔族と相対する組織。
一般的な階級は三つあり、上下関係に対し従順な者が多い。熾天使/セラフィムによって統治されている。組織的かつ閉鎖的。

魔界

アルファ―不詳。

魔界

アルファ―不詳。

かつて神々に背いた魔族が所属する地。悪魔のほか天使から堕天した者や魔王が所属する。天使,神々と相対する組織。
基本的に実力重視の世界であり、組織や階級への意識はあまり見られない。制限が少ない代わりに身の安全は自らで得るもの。

鎖金帝国

アルファ―直刃。

■つの都市から成る軍事国。読みは”サガネ”。地上では最先端の知識と技術が集結している。
首都となる軍事都市には巨大な軍施設が建ち、領域全土にとって強大な武力となっている。多数の国を傘下に置いており、様々な種族や出身の獣を受け容れる国柄。詠月国とはかつて敵対関係にあった/ある。
穢れ憑きへと変異した獣を管理する一方、存在自体は容認し排斥対象としていない。■年前は発覚した者に対して収監、国外追放、処刑等を行なっていたが、国のトップが直刃に変わると共にこれらは撤廃された。学術研究都市_アニマにて穢れに関する研究を積極的に行っており、その成果が理由の一つとなる。

軍事都市_銀扇

アルファ―直刃。

鎖金帝国の首都となる都市。読みは”ギンセン”。軍の本部が構えられる防衛の要であり、都市が成る広大な平地は要塞で囲まれている。国内では最も表立った力を誇示しており、魔法の色も強い。
建造物には耐久性の高さから煉瓦が多く使われ、整備が行き届いた石畳もあり街並みは重厚感のある印象を与える。獣の居住は認められており、様々な店舗も建ち並ぶが防衛意識も高い。軍狼たちの眼が光る緊張感のある場所。

拠点都市_雁金

アルファ―不詳。

帝国の様々な地から獣が訪れ、旅路の休憩所として知られる都市。読みは”カリガネ”。開放的かつ活気的。物資が豊富であり、多くの文化が入り乱れている。
不特定多数の獣が行き交う性質から穢獣発生率も高く、帝国災害救援組織/士紋討伐組が本拠地を構える都市でもある。穢獣が出現した際の対応は最も早い。
旅の寄り地、一般獣の居住、どちらにしても不便のない都市である。ただ治安維持に優れているとは言い難く、繁華街から離れた路地裏に立ち入る際は注意が必要となる。

学術研究都市_アニマ

キャラクター詳細で語句が登場します。

アルファ―不詳。

頭脳的な価値を示し、許可証を得なければ立ち入ることが出来ない研究者の都市。『過去』『現在』『未来』という三つの学派がある。
研究者であれば実力は問わず歓迎するといった都市だが、周囲は高い塀で覆われており許可証を得ることなく無断で侵入した者は粛清対象となる。帝国の技術的な要となる場所。
所属している研究者たちの情報も都市に守られており、倫理的に疑わしい実験さえ上層部からの咎めなく行えるとの噂がある。科学力の提供と引き換えに、帝国軍から資金援助を受けている。

雨海域

アルファ―不詳。

鎖金帝国に位置し、現存する記録を見る限り如何なる季節、時間帯に於いても雨が降り続けている区域。窪地に雨が溜まり海の様になっている事から『雨海』と呼ばれるようになった。かつては『雨の森』と呼ばれた地。
内部は木が生い茂り常に薄暗く、その上雨により立ち込めた霧が足元を覆い隠す。嗅覚にも悪影響を及ぼすため、地形が安定している一方で行動には慎重さが求められる場所。

鎖金帝国/辺境の地

主要都市から離れ辺境に拠点を置く者の他、鎖金帝国を活動範囲としているが定住地を持たない者。旅狼、神など。

詠月国

アルファ―霖。

■つの都市から成る閉鎖的な国。読みは”エイゲツ”。神々に関わる歴史と信仰を大切にしている。
千年前に龍が滅ぼした七つの国―その最後が在った地に成り、生き残った獣たちから始まった世界の再建地でもある。神々が手を貸したため現在も信仰が根強く、首都である雪柊では所属する神や権力者に対して盲信的な面が伺える。穢獣は無論、大戦の言い伝えを元に龍に対しても排他的。
愛国心の強い獣が多い傾向にあり、かつて鎖金帝国とは敵対関係にあった/ある。廃都市_在鉄,国際犯罪組織カルクハイトなど裏の存在と共存していることもあり手段を選ばない国柄。

風雅都市_雪柊

アルファ―霖。

廃都市_在鉄

アルファ―不詳。

詠月国に有る廃都市。読みは”アリガネ”。かつて鉄工業により発展したとされるが、資源を取り尽くし急速に廃れていった。空白となった都市に居所を持たない獣たちが出入りし、現在は国に於ける裏社会の拠点と化している。
■区から■区まで複数の区域から成り、各種勢力の力関係や縄張りへの意識が強い。詠月国の管理が行き届いているとは言い難く、事実上の自治都市となる。立ち入るからには身の危険を覚悟しなければならない場所。

詠月国/辺境の地

主要都市から離れ辺境に拠点を置く者の他、詠月国を活動範囲としているが定住地を持たない者。旅狼、神など。

無剣山

アルファ―吹雪/氷夜/雨冬(21~23代目)。

説明。

氷舞狼一族

アルファ―吹雪/氷夜/雨冬(21~23代目)。

雪と氷に覆われた無剣山に里を構える氷の力を有した一族。閉鎖的であるとされる。

アレグリア王国/亡国アレグリア

キャラクター詳細で語句が登場します。

元アルファ―□□□

■年前まで存在していた、穢れ憑きとなった獣のみで構成された国。名の意味は『喜び/歓喜』。
国全体を囲うように視認できるほどの穢れが渦巻いており、穢獣変異による耐性を持たず、また装備による攻略も出来ない獣では侵入が不可能な国となっている。

□□□が同士を集め成したものであり、自陣の平穏のため穢れ憑きではない獣の在住を完全に排斥していた。
排斥と言っても国の上層部に武力行使の癖はなく、他国を脅かすこともなかった。が、所属する獣の大多数が能力を持ち、尚且つ”要塞”によって侵入/有事による反撃すら苦戦する国であるため、各国から脅威と見なされていたのは事実である。

渦巻く穢れによる要塞は土地の気質であり、穢れ憑きたちが一から作り出したものではない。
その原因は千年前、龍と魔族が神を相手に起こした戦、その最中に穢獣へと変異した龍の王が始めに滅ぼした国―それが在った土地であるため。神が世界を創り変えて尚、龍が纏った穢れを祓うことは叶わなかった。
大戦は多くの獣にとって過去の言い伝えであり、それ故に龍の穢れが利用され国が成されたのは想定外ではない。だが一部の神にとって許し難いそれは、死の神タナトスの介入を許すこととなる。
戦に良い記憶を持たない死の神は建国を嫌い『力の使い方を誤るようなら、私が全てを無に還す』と忠告をした。

統治していた□□□に荒事を起こす思想はなかったが、数年後、穢れ憑きの力を行使することを望んだ一部の国民により反乱軍が結成され内戦状態となった。
それが『力の使い方を誤った』こととなり、誓いを破棄されたタナトスはアレグリア王国を滅ぼすと決める。彼の行動は天界の神々にとっても許されざる行為であったが、タナトスは自身を”穢れ神”にすることにより強行に成功。
目的を果たしたタナトスは、同盟関係にあった帝国から派遣された士紋討伐組や冀望の神ベリェッサと戦い、主神アルクアロウの天誅によって討伐され死去している。統治者であった□□□は生存しており、災厄から逃れた獣も居ると思われる。が、穢れ神襲撃の影響で並の穢れ憑きでは滞在することが困難なほど穢れた場所になり、国の再建は不可能となった。

タナトス亡き今も土地は穢れたままであり、鎖金帝国軍の判断によって危険指定区域―禁足地となっている。濃霧により視界は悪く、破壊された建物も多いが国の姿はかつてのまま。
学術研究都市_アニマにより製造される特殊なガスマスクを装備していれば侵入が可能となることから、帝国災害救援組織/士紋討伐組により定期的に調査が行われている。

穢れが穢獣を呼び寄せるため今も昔も穢獣遭遇率が高く、装備以外にも気を配る必要があるのは間違いない。
廃材を集めるためや単なる好奇心で立ち入る者がいるが、対策をしていないのなら身に起きる危険は全て自己責任と言える。